むし歯と歯周病

歯の二大疾患はいわずと知れたむし歯(麟蝕)と歯周病(歯槽膿漏)である。両方とも細菌によって起こる感染症だ。これまでに述べたことと多少重複するが、むし歯と歯周病が発生する仕組みを改めて 記すことにする。

①むし歯は口のなかには数百種類の細菌が多数生息する。人間にとって有用な細菌ももちろん含まれるが、とに かく数がものすごく多くて、唾液一町中に数十億個いるといわれる。かつて牛乳のことを調べたとき、 ウシの糞尿一目中の細菌は約一 O億個と聞かされたが、人間の唾液にそれ以上の細菌がいるのだから驚く。特にむし歯にかかわりが深い細菌はストレプトコッカス・ミユ lタンス菌である。爪楊枝などで歯の 表面や歯と歯のあいだをせせると、白いかすのようなものが先端につく。これがプラーク(歯垢)、いわゆる歯くそです。

生まれたばかりの赤ん坊は口のなかがきれいで、ミュータンス菌はいない。しかし、数週間あるいは数か月たつと、たいていは汚染されてしまう。大人はほとんどがミュータンス菌をもっているので、母親からの口移しで垂直感染する。乳母のような第三者が育てた子どもに、ミユータンス菌が少ない、したがってむし歯が少ないというデータがアメリカにあると聞いたけれど、うなずける話ではある。むし歯を防ぎ減らす方法はわかっている。規則正しい食習慣を守り、 フッ素の力を借りて歯の再石灰化作用を強め、歯医者や歯科衛生士の定期チェックを受ければよい。