歯周病

歯周病も感染症の一種である。やはりプラークの中に潜む細菌が犯人である。歯周病には歯周炎と歯肉炎の2つがあり、歯周炎は炎症範囲が深く広く、歯ぐきに加えて歯槽骨や歯根膜にまで及んでしまう。それに若年性と成人性があり、ここでは成人性の歯周炎に関して記述する。プラーク内には300種以上の細菌が潜んでいるが、成人性の歯周炎の犯人はポルフイロモナス・ジンジパリス (PG )と呼ばれる菌である。患者は中年以上の年齢のため、感染経路は母子間の垂直型感染とは異なり、男女間の水平感染が多い。誤解を恐れずにいえば、ディープキスよって引き起こされる一種の性病ということも否定することはできない。エイズ・ウイルスの感染力はとても弱く、およそ数百回の性行為のうち一回でしか感染しないらしい。歯周病の病原菌の感染力はどのような程度か。この問題の専門家のうち、「あまり世間に公表すると人間関係が不安定になるから」と、慎重な人もいる。

PG菌もプラーク内部に住みついてしまう。プラークは歯の表面や歯と歯の間だけでなく、歯冠部と歯ぐきの境目、または歯ぐきとセメント質とのすき間にも侵入する。この細菌は酸素を嫌がるため、歯ぐきの稜線よりも下部(歯肉縁下)の歯 の表面や歯ぐきの組織、そして歯槽骨を破壊する。下方へと食いこみ掘りさげていって、ポケット状に切れこみをつくってしまう。これが歯周ポケットと呼ばれている。最後には歯槽骨が完全に冒されてしまい歯が脱落する。歯周病が感染症による病気であることは比較的最近に判明した。それ以前は治療法が見つかっていなかった。いまでは、特殊な金属でできたキュレットという端子の先を歯周ポケットに入れて、歯肉縁下のセメント質や歯槽骨をひっかき、PG菌をとりだす。この作業をスケーリング(細菌が住みつく歯石を取り除く)およびルルートプレーニング(取り出しだした後の歯の根の表面を綺麗にすること)という。定期的にこの処置を施すと、症状は改善する。